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私の
「多様性」が
動き出す

Patient interview 6

Interview

心臓手術経験者インタビュー

Series #5

連載#6
猪又さん(長野県在住)

Series #5

先天性の心疾患のため、3度の開胸手術を受けられた猪又さん。企業の人事部としてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン 推進のお仕事をされながら、患者当事者としての発信などの活動をされています。

ご自身の治療経験、そして心臓病を持つことから培われてきた多様性への考えについて伺いました。

私の 多様性 が動き出す

治療ができなかった時代に

生まれて

No treatment

私の疾患は完全大血管転位症Ⅲ型というもので、大動脈と肺動脈が入れ替わって付いていることに加えて、心室中隔欠損と肺動脈の狭窄がありました。この状態で生まれると、酸素の足りない血液が全身へ回ってしまうので、常時高山病みたいな状態でした。酸素濃度は70% 、チアノーゼがすごくて50メートルも歩けないような幼少期を過ごしました。

私が生まれた1977年当時には手術の選択肢は無く、両親は「息子さんは10歳まで生きられません」とはっきり言われたそうです。

No treatment

治療可能となった転換のタイミングに出会えた

1985年、人工心肺などの医療技術の進歩によって治療が可能な時代になり、小学校2年生の時に手術を受けることができました。この手術では、人工的に新しい心室中隔(壁)を作り、肺動脈を切って右心室 につなげ直す治療を行いました。ちょうど治療できるようになった時代の転換のタイミングに、治療を考えてくれる医師に巡り合えた、運ですね。術後は症状が改善されて、チアノーゼもすっかりなくなりました 。

more patients with severe congenital heart disease
more patients with severe congenital heart disease

僕のような重度の先天性心疾患患者は1980年代ごろを境に大人になれる人が増えていきました。私より年上の患者はあまり生き残っておらず、私より年下は多くの患者が大人になれるようになったので、私は大人になっていく先天性心疾患患者さんの中で「パイオニア」的存在です。私の手術や治療を通して、どういった合併症が起こりうるのかなどもいろいろと発見があったようです。

約30年経って受けた2014年の2回目の手術では、医療が大きく進歩していて、1985年の手術と比べると全く違う印象でした。なんにも痛くなくて、感激しましたね。

大切なのは「元気なうちに治すこと」

cure while you're still healthy

2014年には石灰化した部分をきれいにして、人工弁を入れる手術。2023年には、その人工弁を取り換える手術をしました。

どちらの時も、自覚症状は無く日常生活を送れている状態でしたが、これが心臓の治療のあるべき姿だと思っています。「心臓も体も元気なうちに手術を受けるのが、治療後の回復を考えると一番いいんです。」と執刀医 から説明を受けて納得したのを覚えています。

世の中、具合悪くなってからという方が多いのですが、心臓そのものが手術に耐えられる状態のうちに受けるのがいいんだよってことは私も自分の経験から伝えて行きたいことです。

心臓病を持ったことから生まれた多様性へのまなざし

小学校に入るときは病弱児として養護学校入学を勧められました。でも、担任になる先生が「私が引き受ける」と言ってくださったことがきっかけで、一般的な地域の学校に通うことになりました。 「学校は、社会の縮図であるべき」という考えで、多様な生徒がいる環境を大切にされていました。

過保護にしない先生でしたので、「病気があってもやれることはちゃんとやりなさい」という厳しさもありました。「走れないなら、猪又君は記録係をやって」というふう に、最初は役割を与えてくれていましたが、だんだん自分でもできることを探して「やります」と言えるようになりました。社会はお互い補いあっていくものなんだと身をもって感じられたのはこの先生のおかげです。

後日談ですが、大人になって先生にお会いした時に「当時は引き受けるって言ったけど、実は体調崩したらどうしようと思って怖かったんだよ」と打ち明けられました(笑)

The message I want to convey about diversity
The message I want to convey about diversity

多様性について僕が伝えたいメッセージは「助けてって言っていいんだよ」ということ。

日本では多様性の経験を積めていない人がすごく多いと感じます。そうすると特徴や違いが特別なものだと感じてネガティブな感情が芽生えやすいんです。だけど、例えば小学校時代から人工呼吸器をつけている子もいれば、目が見えない子も、耳の聞こえない子もいる。そういった「ごちゃまぜの環境」であれば、自分が持っている「違い」に対する特別感は薄まるんですよね。

「できないことがあってもまあ大丈夫か、じゃあできる人に助けてもらって、代わりに自分ができることで誰かを助ければいい」っていうお互いに補い合う考え方が広まると、みんな気が楽になると思います。みんな同じことができて当たり前という同調圧力が強すぎるんです。

心臓病を持つ後輩患者のためにも、
発信を続けていきたい 

Benefit of younger patients with heart disease

学生生活を終えて就職した一社目では体力が追い付かず、辞めて転職活動をしました。幸い、今の会社に入ることができましたが、心臓病を持っていることで転職活動は非常に苦労しました。

今の会社では上司にも同僚にも心臓病のことや、できること、できないことについて説明して、理解と配慮を得られるように自分から発信したので、20年間働き続けることができています。

自分の病気のことを周囲に伝える力を身に付ける大切さを伝えたり、発信が苦手な人のためには自分の病状を説明するための補助ツールがあれば解決できるんじゃないかと考えて取り組んだり。経験した患者当事者だからこそ生まれてくる発想や、見えているアクションがたくさんあります。

これからも、自分の経験から学んだことを、社会や後輩患者たちに届けていかなければという思いがあります。

上記の患者さんのインタビューは、エドワーズライフサイエンスが、実際の患者さんのご経験を伺い、書き起こし、編集したものです。記載された症状や治療、治療後の生活などは個々人によって異なり、すべての方にあてはまるものではなく、また特定の治療等を推奨するものでもありません。ご自身やご家族の症状や治療について気になることがございましたら、医師にご相談ください。

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holding hand
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