Story 8 Transcatheter Aortic Valve Implantation より多くのニーズに応える、新時代の弁膜症治療

患者さんへ新たな治療の選択肢を

弁膜症治療は今、新たな時代を迎えている。
弁膜症患者さんの中には、体力の低下や他の疾患などによるリスクのため開胸手術による治療を受けられないケースもある。これまでは根治を諦めていた患者さんにとって、新しい治療の選択肢となったのが「経カテーテル大動脈弁治療」だ。開胸することなく、また心臓を止めることなくカテーテルを使って人工心臓弁を留置する。患者さんへの身体的負担は軽減され、術後の早期回復も期待できる。

エドワーズライフサイエンスでは現在、大動脈弁狭窄症の治療法「TAVI」用生体弁を提供。2002年にフランスで世界初の臨床使用が行われた後、2007年にヨーロッパでCEマークを取得。2013年には日本国内に初めてエドワーズライフサイエンスが導入し、治療件数は年々増加している。

Transcatheter Aortic Valve Implantation

画像:小さく折り畳まれた人工心臓弁と鉛筆の比較写真

鉛筆の直径ほどに弁を小さく折りたたむという発想は当初、驚きと疑問で迎えられた

誰しもが無謀と思えた研究

経カテーテル弁膜症治療の研究は大変困難を極めた。もともと開発の構想を持っていたのは医師のアラン・クリビエだった。1996年、彼が世界中の名だたる企業に共同開発を断られたこのアイデアを、当時ある企業にいたスタン・ロウとスタン・ラビノビッチに持ちかけた。ふたりは彼のアイデアに賛同し、開発に向けて動き出した。しかし当時、ほとんどの医師や専門家は、その案を一蹴した。「そんなアイデアは馬鹿げている」と。唯一、医師のマーティン・レオンはその案に興味を示した。その時成功を信じていたのは、その4人だけだった。

1999年、本格的な開発に向け会社を設立。2000年に初めて行った動物試験は成功した。しかし、その結果を報告するための研究発表会に訪れた聴衆は、わずか15人ほどで、ほぼ内輪の人間だった。その後繰り返し行った動物試験ではいい結果が得られず、失敗を繰り返した。開発メンバーの一人ロウでさえも「これは無理なのではないか」と諦めそうになったことを後日談で語っている。

弁尖の組織を変えるなど幾度となくトライ&エラーを繰り返した。生体組織の弁尖に変え、解剖用人体での試験に進んだ2002年4月、突然に臨床使用の話が持ち上がった。

この新しい生体弁がなければ、死が確実に迫っている患者さんだった。しかし、十分な試験データのないこの生体弁を今、臨床現場で使用していいものか。とても難しい決断だった。しかし患者さん本人とその家族の同意を得て、4人は可能性に賭けた。患者さんの状態から、この術法が助かる最後の希望だと思えたからだ。そして彼らは、賭けに勝った。
「患者さんを助けたい」いつの時代も、この想いが技術革新を後押しする。

画像:写真

アラン・クリビエ氏

さらなる可能性を目指して

十数年前まで、経カテーテル弁膜症治療は多くの医師に実現不可能と断言される夢物語だった。それが現在、患者さんを救う選択肢のひとつとして、着実に症例を増やしている。
今ではさらなる研究が進み、大動脈弁狭窄症以外の弁膜症にも同様の治療法を適用できるよう、模索している最中だ。より多くの患者さんのいのちを救うこと、その人生をより充実したものに導く助けとなること。その願いを叶えるために、医療技術はさらに飛躍する。

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TAVI用生体弁