周術期の低血圧が予後に与える影響(字幕付き)

麻酔・救急集中治療領域 学会・セミナー動画

更新日:2020年07月02日

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東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座 教授 坪川 恒久 先生に、血圧に関する基礎的な知識や、周術期の低血圧が予後に与える影響についてご講演いただきました。

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抄録

人口構成の高齢化とともに高血圧・動脈硬化を有する患者が手術を受ける機会は増えている。導入前には異常な高血圧を示しているが、挿管操作が終わってからは低血圧との闘いが続く、というのは高齢者の麻酔管理では典型的なパターンである。かっては、導入時の高血圧と関連の合併症を抑えることが重視されていたが、現在はむしろ、導入から術後にかけての低血圧による予後に与える影響に注目が集まっている。Wesselinkが2018年に発表したシステマティックレビューでは、術中に平均動脈圧が65mmHgを下回る時間が長いほど、腎障害、心筋障害のリスクが増え、30日死亡率が上昇することが示唆されている。欧米では術中だけでなく、術前から術後までの間の流れの中で低血圧を捉えようとするグループ(POQI-3)が形成され、様々な提言をおこなっている。その中には術中だけではなく術後4日間の間におこる低血圧イベントも死亡率を大きく上昇させること(オッズ比が2.8)なども示されている。これらは、ほとんどが後方視的な調査の結果であり、慎重に解釈しなければならないが、低血圧というものが従来考えられてきたものよりも大きく、また長期間予後に影響を与えることが明らかになってきている。これまで、麻酔科医は術後数日までの範囲でより安全な麻酔管理方法を追究してきた。しかし、今後、さらに周術期管理の安全性を高めていくためには、もっと長期間の予後を見据えて何が必要なのかを考える時期に来ている。本講演の中では、血圧に関する基礎的な知識について解説し、さらに最近の研究やわれわれの施設の現状を紹介する。