2013年06月21日 エドワーズライフサイエンス、日本初の経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)用生体弁「サピエンXT」の製造販売承認を取得-治療困難な重症の大動脈弁狭窄症患者さんに、新しい治療の選択肢-

日本法人プレスリリース

2013年6月21日―エドワーズライフサイエンス株式会社(東京都新宿区、代表:ケイミン・ワング、以下エドワーズ)は、6月21日、日本で初めて、重症の大動脈弁狭窄症で、開胸手術による治療が不可能、または非常に困難な患者さんにとって、全く新しい治療の選択肢となる、「経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)」に使用する生体弁「サピエンXT」の製造販売承認を取得しました。今後は保険償還を経て、所定の施設基準を充たす各医療機関にて順次治療が提供できる体制が整えられる見込みです。

【経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)の特長】
日本で初めて、これまで治療が不可能、または非常に難しかった重症の大動脈弁狭窄症患者さんに、新しい治療の可能性が開かれます。

TAVIとは、胸を開かず、心臓が鼓動している状態で、鉛筆ほどの太さに折りたたまれた「サピエンXT」生体弁を、太ももの付け根の血管等から、専用のカテーテル(デリバリーシステム)で心臓の中まで運び、バルーンを膨らませて大動脈弁の位置に留置する治療法です。

高齢化が進む日本社会において、患者さんの生活の質を高め、元気に日常生活を過ごす一助となることが期待できる治療法です。

■ 日本初、治療困難な重症の大動脈弁狭窄症に対する新たな治療法
TAVIは、重症の「大動脈弁狭窄症」に対する新しい治療法で、開胸(胸の中央の骨を縦に切開すること)することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルで「サピエンXT」生体弁を患者さんの心臓に留置します。

大動脈弁狭窄症は心臓弁膜症のひとつで、患者さんの大動脈弁が高齢化や動脈硬化などに由来して硬くなることで開きにくくなり、十分な量の血液が心臓から全身に送り出されなくなる病気です。通常は開胸手術で大動脈弁を切り取り、代わりに人工の弁を縫い付ける弁置換術を行い、治療します。しかし高齢や合併症などが原因で従来の開胸手術が出来ない、または極めて難しい患者さんは、これまで薬で病気の症状を和らげる対症療法しかできませんでした。

TAVIはこのような開胸手術が困難な患者さんへの新しい治療法として、ヨーロッパでは2007年から、アメリカでは2011年から、臨床の現場で広く役立てられており、世界中で今日までに50,000人を越える患者さんがエドワーズの生体弁でTAVIを受けています。日本でも2010年の国内治験開始以来、臨床への導入が待たれていました。

■患者さんの生活の質を高め、地域や社会で活躍する一助となる治療へ
大動脈弁狭窄症により心機能が低下すると、全身を巡る酸素豊富な血液の量が不足し、体の様々な部分に支障をきたします。TAVIは正常に機能しなくなった大動脈弁を、患者さんの体に負担の少ない方法で治療することで、心臓の働きを回復させます。高齢化社会の進行とともに、大動脈弁狭窄症の患者さんが増加すると予想される日本では、TAVIは今後より多くの方に必要とされる治療となる見通しです。

当社代表取締役社長のケイミン・ワングは「重症の大動脈弁狭窄症を患いながらも、手術による治療が困難なために、日常生活に支障をきたすほどのひどい息切れや、極度に疲れやすいといった症状に苦しみ続けてきた日本の患者さんにとって、TAVIという新たな治療の道が開かれたことを本当に嬉しく思います。」と述べています。またワングは、「大動脈弁狭窄症はとくにお年寄りに多い病気ですが、高齢化が進む日本において、TAVIがこれまで治療が難しかった患者さんの元気を取り戻すきっかけとなり、地域や社会で活躍する高齢者が増える一助となることを期待しています。」と述べています。

サピエンXT国内治験3施設の各責任医師は、それぞれ次のように述べています。

澤 芳樹 大阪大学心臓血管外科主任教授
「大動脈弁狭窄症は重症になると、未治療の場合2年以内に半数以上の患者さんが亡くなるというデータ※1があるほど、非常に恐ろしい病気です。これまでは開胸手術が難しい患者さんへの有効な治療法がありませんでしたが、TAVIは心臓を止めず、また開胸しないので、通常の外科手術に耐えられない患者さんにも、体への負担が少ない状態で治療できます。TAVIは、従来の治療法のみでは救うことの出来なかった患者さんを助けられる点で、画期的な治療法です。」

光藤 和明 倉敷中央病院副院長、循環器内科
「TAVIは非常に高齢の患者さんや外科手術が難しい患者さんでも、低侵襲(治療のために患者さんの体を傷つける度合いが少ないこと)で治療を受けることができます。これまでは手術を諦めていた重症の大動脈弁狭窄症の患者さんにとって、大きな福音となるでしょう。」

高山 守正 榊原記念病院副院長、循環器内科
「大動脈弁狭窄症の患者さんの多くは手術が必要にもかかわらず、高齢などの理由で薬による対症療法を行っているのが現状です。TAVIが日本に導入されたことで、大動脈弁狭窄症を原因から治療し、元気に日常生活を楽しめるお年寄りが増えることを期待しています。」


エドワーズは今後とも、心臓疾患に苦しむ患者さんに役立つ、革新的な治療を生み出すことで、ひとりでも多くの患者さんのQOL(生活の質)向上の一助となることを目指し、取り組んで参ります。


■「大動脈弁狭窄症」とは
心臓弁膜症のひとつで、心臓の中にある弁のうち、酸素を含んだ血液を全身へと送り出すのに重要な役割を果たす大動脈弁に、動脈硬化のような変化が起きて硬くなり、十分に開かなくなる病気です。重症になると胸痛や失神、安静時でも息切れがするといった症状が現れ、場合によっては突然死に至る場合もあります。
薬による内科的な治療では病気の進行を抑えることしかできないため、重症になると外科的な治療が必要となります。

日本における大動脈弁狭窄症を含む心臓弁膜症の潜在患者数は、推定200~300万人といわれています※2
心臓弁膜症について紹介している「弁膜症サイト」(http://www.benmakusho.jp/)では、心臓弁膜症の原因や治療法、手術を乗り越えた患者さんのインタビューなどご覧いただけます。

※1 Otto, CM. Timing of Aortic Valve Surgery. Heart 2000;84(2):211-8.
※2 Nkomo et al. Burden of valvular heart diseases: a population-based study. The Lancet, Vol. 368 No. 9540 pp 1005-1011の有病率の値をもとに推計。


本プレスリリースの詳細はPDF版をご覧ください。

エドワーズライフサイエンスについて(http://www.edwards.com/jp/)
エドワーズライフサイエンスは、人工心臓弁と血行動態モニタリング技術の世界的リーダーです。
カリフォルニア州アーバインに拠点を置くエドワーズライフサイエンスは、構造的心疾患分野と、クリティカルケアの分野において、臨床医の声に耳を傾け、ともに革新的な技術を発展させることで、患者さんの健康に貢献することを目指しています。エドワーズライフサイエンスは現在、世界100カ国以上で弁膜症製品、クリティカルケア製品分野でのリーダー的役割を担っています。